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ハタノ家に戻ると、ユキさんがミシンをコトコトコト…。
人気作品の一つである「ワカバン」を製作中だった。
ハタノさんが木版画で彩った和紙を、ユキさんがミシンと針と糸で「ワカバン」にするのだ。
なんと見事な連係プレー!約一日に5個ができるという。
ちょっとしたお出掛けなどにいかがだろうか?耐久性も抜群だそうだ!
ちなみにカバンの紐を編むのは、次女うたちゃんのお仕事で、
ハタノ家の方針のもと自分のお小遣いは自分で稼ぐのだそうだ!
なんとも頼もしいかぎり。
ワカバンの生地。柄が素敵。
いつの間にか、ハタノさんが雑誌の「カジカジ」に載った話で盛り上がっていたのだが、時間が来たため、私たちはお世話になったハタノ家を後にし、綾部にある集落「黒谷」まで案内してもらうことに。
その道中、車の中で流れていたBEGINの「アンマー我慢のオリオンビール」を初めて聞いたのだが、なにやら軽快で面白く、耳から離れない……!!!
“あ〜 好っきでも なっければ 嫌いで〜もないっ!地元のビールが大好きよ!”
その歌詞がぐるぐると頭の中をめぐっている内に、黒谷へ到着した。
「ひゅ〜 ふゅっふゅふゅふゅ ふゅっふゅふゅふゅ ふふふふゅ〜ふふゅっ!ふゅっふゅふゅふゅふゅ〜ふゅっふゅ ふゅっふゅふゅっふゅふゅっ。」
それにしても、ずーっと吹き続けるものだから、この曲は何だと思い聞いてみると、
「ん?これさっき車で流れてたBEGINのやで。」
「あ、それですか!ハタノさんも耳についてはったんですねー!(笑)」
と、笑いながら、小雨が降るなか紙漉き場まで歩き続けた。
黒谷とはその名の通り、山間の谷に存在し、日の当たりがあまりない。
約800年前の平家の落武者の隠れ里とされ、炭・紙漉き・狩りなどを生業にしていたそうだ。
紙を漉くためには、きれいで豊富な水が必要だそうで、ここはそれに適している。
「伝統工芸は全体の流れの中にあるから、一人ではできない。」
そうハタノさんは言う。
本来なら一家で役割が分担されているものが、ここでは年齢層で分担されているらしい。
おばあさんたちが「楮揃え」などを、おじいさんや若手衆は、原料作り・栽培・収穫・紙漉き・乾燥を担当するそうだ。
黒谷和紙の製作行程を説明してもらう。
これは黒谷和紙の製作行程図。
ハタノ「あ、これ僕が黒谷に来た時に作ったやつなんよ!」
毛利 「やっぱり!ハタノさんみたいな雰囲気やな〜と思ってました!」
ハタノ「こっちもあるし、写真取っといたら良いと思うわ。」
こちらは最近作ったというその行程図。ご覧になった方も多いのでは?
それにしても和紙一つで、これだけの作業量があることには驚きだ。
普段何気なく見ていた和紙だけでなく、スーパーなどに陳列されているものまで見方が変わる。
さらに、ハタノさんは話を続けた。
ハタノ「和紙を固めるためには『とろろあおい』の根っこが必要で、それを保存するのにピケオールとかクレゾールっていう防腐剤に漬け込んどくのが一般なんやけど、僕の場合、それは一切使ってなくて、冷凍か乾燥させて保存してるんよ。
それは何でかっていうと、友だちに化学物質過敏症の子がいて、少しでもそれが残留してると反応出ちゃうんねんな。僕はそれは嫌やから、どうにかして薬品を使わずに和紙を作れへんかって思って、試行錯誤してる内に冷凍でもいけるって発見してからはそうしてる。ただ、粘りが弱なるから量はめっちゃいるけど。」
毛利 「それじゃあ、ハタノさんは自然派職人ですね!」
ハタノ「うん!今は完全に使ってないし。」
これがとろろあおいの根っこ。群馬県から取り寄せているそう。
そう語るハタノさんのすごいところは、実現したいことと行動が伴っているところだ。
とにかくエネルギッシュな彼が繰り出すモノは、今後も目が離せない!
この2日間は、世代を渡って守り・伝えられている、伝統工芸の奥深さを特に感じさせられた。
自分にとっての「手に職を付けること」とは一体何なのか?
先が楽しみである。
* * *
実はこの取材からしばらくたってからのこと、
ハタノさんのもと、縁あって黒谷で紙漉き体験をしてきました!
そこでの楽しかった様子も、後日お伝えいたします!
次回はいよいよ南山城の童仙房に住む陶芸家、
清水善行さんの暮らしの紹介です!お楽しみに〜!
モノノートM
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