March 9, 2012

取材後記<Part12>

*初めての方はこちらからお読みください。

*モノノートMによる取材後記<Part1>はこちらから。

* * *


211日(土)


先月の清水さんの取材から早2週間以上たった今日、

モノノートMの取材はまだ続いていた。

今日は綾部里山交流大学で開催されているイベントを通して

黒谷和紙の紙漉き体験ワークショップに参加しに綾部までやってきた。



世の中には不思議とその場所へ呼ばれるということがあるもので、

私は今日、この黒谷へ呼ばれたのだと思った。

というのも当初は参加する予定はなかったのだが、

友人の知り合いのドイツの人が初めて京都に来たというので、

良い機会だし伝統工芸に触れに行こう!

ということになったわけだ。



ちなみに私とハタノさんが出会ったのも、

昨年の綾部里山交流大学のイベントを通してだった。

そこに参加していなければ、

今こうやって取材後記を書くこともなかっただろう。

なんにしろ、ご縁を感じざるを得なかった。





さて、綾部駅で私たちを出迎えてくださったのは

半農半X研究所として世に名を広めている塩見直紀さん。

他の参加者の方とも合流して、総勢7名の一行は黒谷へ。


途中、車の中では自己紹介をしたり、綾部の紹介を受けたり、

イベントの配布資料をどっさり頂いたりした。





今日は寒いといっても日が照っているためほんのり温かい。

黒谷に到着して、さっそくワークショップが始まった。



ハタノさんの解説中。これは天日干し中の楮。


「楮たき」のあとの楮の状態。


今日は交流大学のイベントとあって、

100で和紙を漉かせていただくことに!

どっきどきの初体験!



和紙を漉くときは、上下左右に2,3回簀桁を揺する。

ポイントはすばやく丁寧に行うこと。これがなかなか難しい!

塵が入っていれば、ピンセットで取っていく。

手作業の醍醐味かもしれないが、

一枚一枚に相当な時間がかかることと思った。


「そこをいかに段取りよく、効率よく漉いていくかが職人やわ〜」


と、ハタノさんは仰っていたことを思い出した。恐るべし職人業!

こちらは本家本元!紙漉きをするハタノさん!


これは葉書を作るため簀桁。


赤青黄の3色の着彩用粘液。

手前にあるのが私の作品だ。…上手くできただろうか?


天日干しの説明を受けているところ。


「楮蒸し」の後の状態。


改めて思うが、和紙一枚を作るだけでも

これだけの作業量が必要とは驚きである。

その一部の紙漉きだけでも体験できたことは

本当に貴重な経験だったと、かみしめている。



さて、今日のワークショップで興味深いお話をお聞きした。

それは、もともと紙は神さまに奉納するためのものとして

生産されていたことから「かみ」と言われているというお話だ。

しめ縄に飾られるのも、御幣も紙だと考えると、

なにか古代の人が「紙」に込めた想いというものが

伝わってくるようでならなかった。


「豆知識ですけど、西洋は字を書く時にペンを使うじゃないですか。だからインクの染みにくいパルプで作られた繊維の細かい紙を必要としたんですけど、日本の場合は筆を使うんで、墨が染み込む和紙を必要としたという文化の違いがあるんです。」と、ハタノさん。

なるほど〜!な話だ。



さて、黒谷から所変わり、志賀郷のハタノ家のアトリエへ。


ブックカバーの加工をお線香でするというワークショップだ。

香で焚きつめられた部屋の中で、作業をしながら里山トーク。

ハタノさんの活動の紹介や、それぞれのその想いの丈を語り合った。



私も少しの間、無心になってみようとできた作品がこれ。

今見ると、まだまだ手を加えたい気が沸き起こってくる…!




さて、この後一行はハタノ家にお邪魔させて頂いたり、

ご自宅のギャラリーを拝見させてもらった。

時間になったので私たちは綾部駅まで送って頂き、

綾部の黒谷和紙漉き体験も無事終えることとなった。


私にはこれから数々の貴重な体験をもとに、

職人さんの暮らしを伝える役目が残っている。

「おし、やるぞー!」と自分の胸に誓い、

長い取材の旅を終えた。



<完結>

* * *


こうして、モノノートMの取材は無事終わりました。

思えば、このような機会はなかなか得られるものではないですが、

ハタノさんをはじめ、清水さん、大益さんという

日本の文化を形成している方たちの暮らしを知れたのは、

本当に楽しかったですし、モノに対する見方が大きく変わりました!

これを伝えていくこともきっと楽しいし、

知ってくれたに人も楽しんでもらえれたらなぁと思い、

書き続けた取材後記の連載も今回で最後となりました。

長らくお付き合い頂いたみなさま、ありがとうございました!



さて、忘れちゃなりません。

本題の展覧会はいよいよ明日からです!

搬入の様子や会期中の様子も随時お伝えして参ります。

お気に召した作品があれば購入もしていただけますー!

ぜひお手に取ってご覧くださいませ!!


モノノートM

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