October 20, 2010

富井君と椹木(サワラギ)さん



「木と紙と古いもの展-時間がつくるもの」在廊のお知らせです。

富井貴志・・・・・3日6日7日
椹木知佳子・・・3日4日5日
ハタノワタル・・・全日


富井君とサワラギさんとはクラフトフェアー松本で出会いました。
3年前の松本で出店の合間をぬって
ザーッと他の出店者のブースを見たとき
強烈に印象に残ったのが富井君の作品。
整理された、彫りのリズムと計算されたようなシャープなフォルムに
心躍らされました。

時々思うときがあります。
手仕事の中に何か意識のようなものが感じられなくなったとき
ものの魅力は半減する。

私の紙漉きは職人仕事で
個性を極力押さえ、量とスピードを上げていくという美学があります。
意識を入れると、うるさくなる。
ただ、それであれば機械で作る紙とどのような違いがあるのかわからなくなっている時でした。
確かに手漉きと機械漉きの紙の差はある
でも、その差はお客さんにとってはどうなのかな?

富井君の木の器の中に
ちょうどいいバランスを見たような気がします。
意識は、計算された形に裏づけされ
手仕事の作業の中には意識を極力抑えたリズムを刻んでいる。

去年同じ会場で行った時の富井君の自分の作品に当てた文章です。

「木を削って生活道具を形にしていくことは、
 一枚の紙上に書かれた複雑な数式を、
 意味が通り出来る限り単純な式に変形させていくことにとても似ている。
 山の中で朝起きてから夜寝るまで没頭する作業は内向きだが、想像は次々に広がっていく。
 ふと顔を上げたときに見える森の木々や青い空に浮かぶ雲。
 どこかで目にした恐ろしくきれいな夕日。
 暗闇に広がる星空の動き。
 全てを構成する素粒子。
 自然を感じ、その一片の人間であることを感じる。
 自然を記述する一本の美しい数式のような、そんな木の道具を作りたい。」

http://blogs.yahoo.co.jp/aaawtaaa/32939308.html



サワラギさんとは4年前の松本の出店の時に出会いました。
その後、何度か恵文社に足を運び
サワラギさんのもの選びバランス感覚には
いつも感心します。

人とものを結ぶ役割にあるサワラギさんにとって
お店に置くものは売れるものではなくてはならないという
大前提があると思います。
常に、時代の空気に敏感で
少し先を歩く感覚を持ち合わせていることが大切で
そのことがものに説得力を与え
人の心にす~っと届いていく。
恵文社一乗寺店という独特な空間の中に
生まれた恵文社一乗寺店生活館は
サワラギさんの意識が息づいていて
今の人と今の時間と今の空間のちょうどいいバランスが
ここにはあります。

今回、作家という立場でないサワラギさんに声をかけたのは
そのバランス感覚を
表現して欲しいという思いです。
これは作り手の私達には表現することができない
もう少し、お客さんと近い生活の部分に
心地よい刺激を与えれるものと思います。



さて、今回のテーマは時間がつくるものとして
風化というものを考えたいと思います。
ものの風化。意識の風化。

風化は風に化けると書きます。




*搬入と会期中お手伝いをしていただけるボランティアスタッフを募集しています。
 希望の方はハタノワタルHPのお問い合わせコーナーからお申し込み下さい。
 http://www.hatanowataru.org/%E5%95%8F%E3%81%84%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B/



(ハタノワタル)

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